Vol.3
Masanori Kaneshiro 金城正弼
挑戦していた頃を忘れない。
#01
釣りを始めたきっかけは?
初めて釣りをしたのは小学生くらいでした。フナやザリガニを釣って遊んでいました。海釣りは親戚のいる仙台に夏休みに遊びに行っていて、やることがなかったので親戚のおじさんたちとやっていました。
中学に入ると音楽にはまりギターばかり弾いていて、あまり釣りに行かなかったかな?
本格的に釣りを始めたのは高校に入ったころ。ディープマスターのテル岡本さんに出会いました。年齢は自分の二個上で同じ高校の生物部の先輩でした。岡本さんは面倒見がよくて、しょっちゅう早川港の堤防に自分や後輩たちを連れて釣りに行っていました。その時に“ちゃんとした釣り”を教えてもらいました。
だから、僕にとっての釣りの師匠は岡本さんですね。
#02
メモリアルフィッシュは?
うーん、「あの1匹」っていうのはないかなー…
忘れられない光景はありますね。
20代の頃(1980年代)、海外遠征に没頭していました。当時はよくポナペ島(ミクロネシア連邦ポンペイ島)に通っていました。非日常を味わえるし、とにかくデカい魚が釣りたくて。ホント憑りつかれたように、毎回会社を10日間くらい休んでGTを釣りに行っていました。
そのポナペ島で「鳥山ってこんなにすごいの?」と思うくらいの鳥山を見た時はびっくりしましたね。野球の内野グランドくらいの範囲にすごい密度で鳥がいて、ルアー投げると鳥に当たっちゃって、そのまま鳥山に船で入っていっても全然逃げなくて。パッと下みるとすごい量のマグロがとんでもないスピードで泳いでたんですよ。当時はそんなに良い道具を使っていなくて満足に釣りができなかったんですが、あの光景は忘れられないですね。
#03
仕事が自分の釣りに活きたタイミングは?
釣り道具の知識だったり、経験だったりですかね。
海外遠征が多かったのですが、当時の道具ってそんなに良い物ではなかったんですよ。さっき話した鳥山でまあまあサイズのキハダをかけてドラグ出されて、ふとラインを見たらもうテンション掛けたら切れるくらいに傷が入っていたりして。多分、リールのラインローラーがちゃんと動いてなかった。その時に、「あ、道具ってちゃんとしたのを使わないとだめだ」って思ったんですよね。それがきっかけになり道具にこだわり始めた。
仕事で道具の知識はあったから、壊れにくい構造を知れたり、現地で簡単なリペアができたり、そういうことができました。何十万も掛けて釣りに行って、釣りができないのって悲しいですからね(笑)
#04
釣りをしていて一番「楽しい!」と思える瞬間は?
釣りをしているだけで楽しいし、準備をしているときも楽しい。
特に非日常を感じるときは、なんていうか「生きててよかった!」って思います。
初めて見る生きているカツオの色やシイラの色ってものすごくきれいじゃん!とすごく感動しますよ。今ではもうカツオ見ても「旨そう」としか思わないですけどね(笑)
あとは、会社のメンバーで久米島に行ったときに見たカジキ。思いもよらないスピードで泳ぐじゃないですか?
そういう、非日常を味わっている時がとても楽しいって思いますね。
#05
釣りにおいて「こだわり」「譲れない」ポイントは?
諦めずに釣りをし続けることですかね。
全然釣れない状況だってあるじゃないですか。そんなときでもとにかく釣りを続けることです。
俺って、くるくるパーだから、キャスティングし続けるとかシャクり続けるとか…とにかくやり続けられるんですよね(笑)ランニングハイ?キャスティングハイ?って言えばいいのかな(笑)
時合いじゃない状況でも釣りをし続けることですね。
#06
今後、釣りでの目標は?
この年で目標?もう60過ぎてるんだよ?(笑)うーん、そうだなー…サカナの大小じゃなくて一生に一度だなって思えるような、コンディションがいい魚に会いたいです。見たことないような、最初に生きているカツオやシイラを見た時のような感動を得られるような魚に出会いたいですね。
#07
どこでも何日でも釣りに行けるとしたらどこに行きますか?
若いときの思い出に残っているところを思い出巡りしたいかな。海外も含めて。
若い時なんて、バズーカ持って成田空港にいるだけでも自分に酔っていた。あの頃行っていた場所にまた行きたいですね。
今と昔で状況とかもちろん変わっていると思うけど。いまどうなっているか、もしかしたらポナペ島とか全然魚いないかもしれないですね。
#01
今の仕事はどんなことをしていますか?
企画開発の部門で主にalphatackleの製品をチームで手掛けています。開発チームの一員として竿の企画を出して、協力工場と連携して製造に携わっています。チームのイメージやアイデアをまとめて、工場に伝えてイメージ通りの物を作ってもらうような仕事をしています。
あとは、各地のショーやMPGの保証書請求はがきを通した、ユーザーとのコミュニケーションです。それを元に自分たちが作った道具がどのような状況で、どのような仕事をしているか、次はどんな道具を作ったらいいかを考えています。
#02
エイテックで働く魅力は?
信頼できるチームで創造的な仕事ができることですね。
名前にぶら下がって商売するのではなく、いかに楽しんでもらえているかを考えながら仕事ができています。
エイテックはチームで1つ1つ商品を作っています。企画開発も営業も大きな一つのチームで仕事をしています。だからちょっとしたアイデアを形に作りやすいんですよね。それってお互いに信頼しあっているから出来るんじゃないかなって思います。
#03
釣りが仕事に活きたタイミングは?
遠征の時にデカい魚を相手にしていた経験が、MPGシリーズの大型魚をターゲットにした大物竿の作成に役立っています。
20代の一定期間、集中して釣りをしていたから、魚の引きや、その釣りをイメージできるようになりました。その経験が今、道具を作るうえでの肥しになっていますね。
MPGの素材特性と現場の「リアルな釣り」、両方をイメージしながら仕事をしています。
#04
仕事をしていて一番「楽しい!」と思える瞬間は?
お客さんからはがきやメール、各地のショーなんかで、「あの竿良かったよ!釣れたよ!」と言われた時ですね。ユーザーさんの意見を聞いて物を作っていても、使ってもらうのってどうしても一方通行になってしまうんですよ。だからそういう返事がきたときはすごくうれしい。
あとは、仕事終わりにみんなで酒を飲みに行くとき(笑)
自分の想いなどを年の差、立場関係なく意見を出してくれる時はやっぱり楽しい。若手から「こういうことをしたい!」と意見が出た時はワクワクします。絶対に否定せずに、「まずはやってみるか!」となるのがいいですよね。
#05
仕事において「こだわり」「譲れない」ポイントは?
世の中あまたある竿の中からalphatackleを選んでくれたユーザーさんを考えて仕事をすることですね。自分たちが作っていいと思っていても、喜びとか楽しみとかを与えられているか?といつも考えています。
世の中あまたある竿のなかからalphatackleを選んでくれたことを重く感じているからこそ、ものすごく気を使ってモノづくりをしていきたいし、作ったもので「一生の歓喜を一瞬で」得てもらうように常に気を使っています。
#06
今後、エイテックでの目標は?
「挑戦していた頃」を忘れない。歳をとり慣れてしまうと、目を閉じて運転してしまって、いつか世間からズレたことをしてしまう。古臭い言い方すると「初心なんとか」って言うけど、ダメだと思っても「もう1回!」とチャレンジしていきたい。
それと、60を過ぎた身からすると、若手に諦めさせないような先輩でいたいし、若い子たちの応援をしていきたいと思います。
#07
なんでも好きな釣具を作れるとしたら?
個人的にこんな竿があったらっていうのは無いかなー…
「使ってよかった!」って思ってもらえるような竿を作りたいですね。
「釣り道具を作る=ユーザーさんに喜んでもらえる」そういうモノづくりを目指してるからね。