Vol.15
Matsumoto Toshiaki 松本 敏明
釣り人だからこそわかる、その違和感
#01
釣りを始めたきっかけは?
親が釣り好きだったことが一番のきっかけです。最初に釣りをしたのは小学校低学年の頃、ハゼ釣りをしました。
ただ、その時は正直あまりハマらなかったですね。
それから年に一度、浅草橋の船宿から出るカレイ釣りやハゼ釣りに、父と二人で電車に乗って出かけるのが恒例になりました。釣りそのものよりも父と二人で出かける時間が楽しかった記憶があります。
転機になったのは中学生の頃。赤坂の弁慶堀の近くに住んでいて、当時は無料で釣りができたこともあり、興味を持ってルアー釣りを始めました。中学2年生の時、そこで初めてブラックバスを釣ったんです。
テレビ番組『飛び出せ!釣り仲間』を観たり、学研の『釣りトップ』という雑誌を読んだりして、どんどん釣りへの興味が膨らんでいきました。でも最初はまったく釣れませんでしたね。何度も通い込んで、ようやく釣れた一匹がきっかけで一気にのめり込みました。
中学以降は始発電車に乗って、相模湖へ通うようになりました。電車で行ける範囲の有名なフィールドで、貸しボート屋へのアクセスも良かった。当時はバス・オブ・ジャパンのジュニアクラブ(BBC)があり、そこに入会して年に一度はトーナメントにも出場していました。
高校時代はアメリカンフットボールに熱中していて、釣りからは一度離れました。高校卒業後、専門学校に進学しましたが半年ほどで辞め、エイテックに入社。再び釣りに戻ってきました。
#02
メモリアルフィッシュは?
25~26歳の頃に北陸で釣った92.5cmの雷魚です。
自分のレコードフィッシュですね。90cmオーバーを釣ったのはその一匹だけでした。
何度も通い込んで、ようやく「90cmの壁」を越えた魚です。当時は雷魚とバスを狙って日本各地へ遠征していました。とにかく「大きい魚」を狙う釣りを続けていましたね。
千葉や関東近郊でも釣りをしていましたが、フィールドがスレていてサイズが伸びない。だったらデカい魚を求めて行こうと、北は青森、南は九州まで、夏場はほぼ毎週末遠征していました。雷魚は7~9月とシーズンが短いので、その期間に集中して遠征しました。時には飛行機も使いましたし、福井へ往復1,000km車で日帰り釣行をしたこともあります。
雷魚釣りは数よりも圧倒的に「長さ」の世界。21歳の頃、霞ヶ浦の近くに住んでいて小型はよく釣れていましたが、次第に「もっと大きい魚が釣りたい」と思うようになりました。若い頃は本当に釣りしかしていなかったですね。
メモリアルフィッシュの雷魚
#03
仕事が自分の釣りに活きたタイミングは?
仕事を通じて知り合った釣具店の方や友人、業界の人たちと、釣り場で顔を合わせることが増えました。そこから自然とコミュニティが広がり、釣り人の輪ができていった感覚があります。
釣りの最前線にいる人たちと知り合えるので、情報交換の内容も常に最新ですし、より深い話が聞ける。その中で釣り仲間も増えました。今振り返ると、それは自分にとって大きな財産になっています。
#04
釣りをしていて一番「楽しい!」と思える瞬間は?
たぶんどの釣り人も同じだと思いますが、自然相手の趣味であることですね。ゴルフも似ていますが、自然の中で遊べること自体が楽しい。
釣りをしている時はスマートフォンもほとんど見ませんし、釣りに集中して、仕事のことも忘れています。自然と対話するような感覚で、風向きや気温、潮流を感じ取る。その時間がとても好きです。
特にバス釣りをやっていた頃は、全体を見て自然を察知する力が必要でした。余計なことを考えていると、そういった変化に気づけない。だからこそ、集中して自然と向き合う時間が楽しいんだと思います。
#05
釣りにおいて「こだわり」「譲れない」ポイントは?
前準備ですね。これは絶対に譲れません。当日の状況を想像しながら、しっかりとシミュレーションして道具立てをします。
釣りでは当日予想していなかったことが必ず起こります。「あのルアーを持ってきていれば…」と後悔しないために、あらゆる状況を想定して準備をします。その結果、どうしても道具は多くなってしまいますが、「これだけでいい」と絞り込まず、どんな状況にも対応できるようにしています。
釣りのプランを立てた段階から準備を始めて、遅くとも前々日にはすべての準備が整っているようにします。昔はネットで簡単に買えなかったので、早め早めに準備するクセが自然と身につきました。
#06
今後、釣りでの目標は?
今は船のイカ釣りがメインです。マルイカ、ヤリイカ、スルメイカの3種を中心に、いろいろな場所で釣りをしてみたいと思っています。
地域ごとに釣り方が違うのもイカ釣りの面白さ。それぞれの土地ならではの釣り方を体験してみたいですね。
関東を中心にイカを楽しむ
#07
どこでも何日でも釣りに行けるとしたらどこに行きますか?
うーん、どこでしょうね……。
以前、社員旅行でオーストラリアのケアンズに行ったことがあり、その時にバラマンディの釣りを体験しました。新婚旅行でも同じガイドにお願いして、再びバラマンディを狙いました。
その時は70cmクラスを筆頭に、5~6匹釣ることができました。ボートで川を攻めて、ミノーで釣るスタイルです。60cmクラスでも日本でいう80cmのシーバス並みに引きが強く、エラ洗いも激しい。
またぜひ体験したい釣りですね。
#01
今の仕事はどんなことをしていますか?
企画営業部 開発C/S(カスタマーサービス)課で、在庫管理を中心に、ロッドやリールの修理、データ管理を担当しています。
日々のパーツの入出庫を把握し、在庫が減ってきたパーツの発注、使用したパーツと伝票のチェック、発送前の最終確認まで行います。お店に並んでいる商品のようにケースやタグが付いていないことも多く、間違えやすい部分だからこそ、在庫数にミスがないかを常に確認しています。
1件1件丁寧にミスなく管理する。
#02
エイテックで働く魅力は?
釣り道具に囲まれながら仕事ができることですね。
好きなものに囲まれて、好きなことに関わる仕事ができるのは大きな魅力です。
釣りに行きやすい環境が整っているのも、他の会社ではなかなかない点だと思います。有給も取りやすく、「今が一番釣れる」と思うタイミングで釣りに行ける。特にマルイカのように、天候やタイミングで釣果が大きく変わる釣りでは、そのありがたさを実感します。
もちろん普段の業務をきちんとこなすことが前提ですが、仕事と釣りを両立しやすい環境だと思います。
#03
釣りが仕事に活きたタイミングは?
修理品は本当に多種多様で、釣り人ならではのニュアンスで修理依頼が来ることも多いです。「異音がする」「キャストフィールが悪い」「ゴロつき感がある」など、釣り人同士だからこそ伝わる表現もあります。
自分自身さまざまな釣りを経験してきたので、送られてきた道具を見ればどんな釣りに使われていたのかが何となく分かります。糸の種類や道具の状態から、釣り人の思いや使い方を感じ取ることができる。
自分も釣り人だからこそ、ユーザー目線に立った修理やメンテナンスができていると思います。
ユーザー目線を意識して修理、メンテナンスを行う
#04
仕事をしていて一番「楽しい!」と思える瞬間は?
修理全般はもちろんですが、ロッドの込み調整やリールの回転を微調整して、自分のイメージ通りの仕上がりにピタッとハマった瞬間ですね。
また、自分が修理した釣り道具で釣果を上げてもらえることも大きな喜びです。SNSなどで「修理してもらったタックルで釣れました」という報告を見ると、本当にうれしくなります。
#05
仕事において「こだわり」「譲れない」ポイントは?
C/S(カスタマーサービス)の基本である「より丁寧に、より早く、きっちりと仕事をすること」です。いくら丁寧でも時間がかかりすぎれば、お客様に迷惑をかけてしまいます。
釣りにはシーズンがあります。その釣りのシーズン中に、またその道具を使ってもらいたい。だからこそ丁寧さはもちろん、できるだけ早くお客様の元へ返すことを大切にしています。
そのために仕事の段取りをしっかり組み、在庫管理でパーツを切らさないよう心がけています。早く修理を仕上げるには技術も欠かせません。「思ったより早く戻ってきた」と感じてもらえたら、お客様もきっとうれしいはず。
丁寧なのは当たり前。その上で、いかに早く届けられるかを常に意識しています。自分も釣り人だからこそ、その気持ちがよく分かります。
#06
今後、エイテックでの目標は?
今以上に在庫管理の精度を高めていきたいと考えています。
お客様からの問い合わせに対して即座に回答できる体制を作ることで、よりスピーディーな修理につなげたい。
将来的には、お客様自身がパーツの在庫状況や修理期間を把握できるようなシステムを作りたいですね。修理やオーバーホールを出すタイミングが分かれば、お客様にとっても便利だと思います。
大切に1台のリールを使い続けている方も多いので、「いつ戻ってくるか分からない」となると依頼しづらい。余裕のあるタイミングでオーバーホールを出してもらえれば、修理箇所も少なく済む場合があります。その流れを作れるのが理想です。
#07
なんでも好きな釣具を作れるとしたら?
荷物が多くなりがちな自分にちょうどいいバッカンを作りたいです。想定外に備えたいタイプなので、どうしても道具は増えてしまう。
でも、「持ってくればよかった」と後悔したくないので、できるだけ現場に持っていきたいんです。
だからこそ、増えた道具を無駄なく効率よく収納できる構造にしたいです。ロッドキーパーや小物類をシステマチックに取り付けられて、スペースを最大限に活かせる設計。
さらに、オプションを組み合わせて自分のスタイルに合わせてカスタムできるような仕様にしたいですね。
荷物が多くても、きちんと整理して使える。自分仕様に仕上げていける、そんなバッカンを作ってみたいです。